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WSD-F10 開発者インタビュー

商品企画 編

構想から4年の歳月を 費やし完成したWSD-F10。
その挑戦に 込められた 開発者の想いとは。

出発点は開発者の プライベート体験!?

——— 2016年1月、CES(International Consumer Electronics Show)で正式発表。カシオのスマートアウトドアウォッチWSD-F10について、商品企画を担当した岡田さん、石崎さんに話を伺いました。

 岡田:WSD-F10の開発が始まったのは2011年。プロジェクトチームの立ち上げから完成まで、約4年の歳月をかけて完成しました。当初はウェアラブル端末が注目を集めはじめてきた時期で、目標や指針とするものが少なく、開発はまさにゼロからのスタートでしたね。

 石崎:ウェアラブル端末に関するマーケット動向はもちろん、当時すでに日常生活での使用が当たり前になっていたスマートフォンに関しても、ユーザーの用途や使用方法などを調査しました。得られたデータを前に、どのような商品をつくるべきか、チームが集まって様々な検討を行いました。

 岡田:すぐに思いついたのはアウトドア用途。ビジネスやフィットネスなど、いわゆる日常での用途を想定したウェアラブル端末が多いなか、非日常ともいえるアウトドアに着目したものはなかったと思います。汎用性を競うのではなく、特化機能で勝負する。ほかにはないという意味で、カシオらしい商品になるのではという予感がありましたね。

新規事業開発部

岡田 佳代

新規事業開発部

石崎 浩輔

——— チーム内でのコンセンサスはすぐにとれたのですか。

 岡田:メンバーの中に、プライベートでアウトドアを楽しむ人が多くいたこともあり、商品企画としての意志決定はスムーズでした。自らの体験がベースにあるため、目指すべき完成形がイメージしやすかったのだと思います。最終的に、利用シーンをトレッキング、サイクリング、フィッシングの3つに絞りました。アウトドアで役立つスマートウォッチなので、スマートアウトドアウォッチ。ネーミングもシンプルです。

 石崎:コンセプトが決まると、搭載する機能や構造、デザインなど、細かい仕様を策定。メンバー同士の実際の体験をもとに、あるといいなと思う機能をリストアップしながら、ひとつずつ形にしていきました。

 岡田:たとえば、アウトドアでスマートフォンを使うことはあっても、取り出すのが面倒だったり、使いたい機能がすぐに使えなかったり、電池寿命が気になったりと、不便を感じることも多い。使いたいけれど、使いこなせない。このモヤモヤを解消すれば、アウトドアはもっと楽しくなるはず。自分自身が感じた“不便”を“便利”に変えたいという想いが強かったですね。

  • WSD-F10GN

    WSD-F10GN

  • WSD-F10RG

    WSD-F10RG

  • WSD-F10BK

    WSD-F10BK

  • WSD-F10RD

    WSD-F10RD

——— まさに、ユーザー目線での開発が進められたのですね。


目指したのは 「モノ」より「コト」

——— 商品企画のコンセプトは、アプリにはどのように反映されたのでしょうか。

 石崎:大切にしたのは、手に余る多機能ではなく、親切で使いやすい機能と、それをストレスなく自在に使いこなせる使用感。主役はあくまで、アウトドアを楽しむユーザー自身という位置づけです。

 岡田:モノではなくコトを主体にという気風は、チームの共通認識としてありました。単に情報を取得するためだけの道具ではなく、身につけ、操作することにまで喜びを感じるツールを目指す。そのため、搭載するアプリも独自に開発しました。「TOOL」「ACTIVITY」「MOMENT SETTER」がそうです。

 石崎:高度、気圧、方位などの情報を簡単操作で表示するのが「TOOL」。行動中の状況変化をリアルタイムに表示するのが「ACTIVITY」。アウトドアの様々なシーンで活用できます。また「MOMENT SETTER」は、いわば気付きのツール。日の出・日の入りなどのイベント、休憩・補給などのタイミング、釣れ時などのチャンスを、タイムリーに通知してくれます。

 岡田:知りたい情報がすぐに手に入るのはもちろん、いつもそばにいてその場その場の状況を教えてくれる。あるいは、時間を忘れて夢中になっていても、必要な情報を必要なときに知らせてくれる。そんなガイドやパートナーのように、アウトドアの楽しみを広げてくれる存在。アウトドアに慣れた人から、そうでない人まで、幅広く使っていただけるアプリに仕上がっています。


視認性と省電力を 両立する独自技術

——— 技術面では、どのような開発目標があったのでしょうか。

 石崎:時計としての基本機能を徹底的に追求しました。とくにこだわったのは、時刻表示の見やすさ。これに関しては、時計メーカーとして妥協できません。そもそもスマートウォッチには、様々な情報を高精細に表示するため、カラー液晶の搭載が必須となります。しかし、屋外で活動するアウトドアシーンでは、環境光が明るすぎると視認性が落ちることがある。屋外でスマートフォンを使っていて、見づらく感じたことがある方もいると思います。そこで、この課題を解決するべく開発したのが二層液晶です。

 岡田:カラー液晶の上にモノクロ液晶を重ねて搭載することで、使用環境に応じた表示切り替えを可能にしました。とくに、まぶしい太陽の下で見たときのモノクロ液晶の視認効果はすばらしく、初めて試作機の表示画面を見たときは、その場にいたメンバー全員が驚いたくらいです。

WSD-F10RGモノクロ時計画面

太陽光下で見やすい
モノクロ時計画面

WSD-F10RGカラー画面

情報を読み取り易い
カラー画面

 石崎:モノクロ液晶を使う利点は、ほかにもあります。それは、電池寿命を伸ばせるという点。バックライトを使うカラー液晶に比べ、圧倒的に消費電力が少ないというメリットがあるのです。これまで、電池寿命の短さはスマートウォッチの宿命と思われていましたが、この二層液晶の完成により、その常識は覆されました。

 岡田:このメリットをさらに追求したのが、タイムピースモードです。これは、スマートフォンとの通信を切り、モノクロ液晶で時刻のみ表示するというもの。カラー液晶に使用する消費電力に加え、スマートフォンとの通信に必要な電力までカットすることで、さらなる省電力化を実現しました。

 石崎:山小屋に泊まるとき、車で仮眠をとるとき、食事中など、アウトドアにいても、アプリを使わない時間は少なからずあります。そんなときは、時刻さえ確認できれば事足りる。タイムピースモードは、必要最低限の表示をキープしながら、バッテリーを長持ちさせることができる機能なのです。これにより、長丁場のアウトドアシーンでの使用を可能にするのはもちろん、通常の時計として日常使いにも対応できるようになりました。

 岡田:モノクロ液晶はデジタルウォッチ、カラー液晶はデジタルカメラ、二層液晶の実装はPRO TREKと、それぞれの分野で培った独自の技術が応用されています。実績のある技術を駆使して、新たな価値を生み出すという点は、カシオならではといえるかもしれませんね。

長時間のアウトドアに便利 タイムピースモード

 石崎:また、アウトドアでの使用を想定している以上、防水性や耐環境性能にも気を配りました。防水に関しては、マイク搭載型スマートウォッチとして初となる5気圧防水を実現(2016年1月時点、当社調べ)。さらに、MIL STANDARDという規格にも準拠し、落下や振動などに強い構造となっています。

——— WSD-F10には、機能からデザインまで、アウトドア用途に特化したアイデアや技術が詰まっているのですね。

5気圧防水構造

音声入力マイクを搭載しながら、 5気圧防水構造を実現。
日常生活はもちろん、 水辺や雨でも使えます。

MIL-STD 810Gに準拠した 高い耐環境性能 *

アウトドアでのタフなシーンに持ち出せるよう、米国防総省が制定した米軍の物資調達規格MIL-STD-810Gに準拠。落下、振動など、様々な環境下における試験をクリアしています。


アウトドアの楽しさをさらに広げる

——— WSD-F10には、スマートフォンと連携するだけでなく、もうひとつウェアラブル端末らしい使い方があります。それが、カシオのEXILIMシリーズ、アウトドアレコーダーEX-FR100との連携。この機能について、FR100の商品企画を担当した是木さんにお話を聞きました。

 是木:FR100は、カメラとコントローラーを切り離せるフリースタイルカメラ。分離した手のひらサイズのカメラ部を、アタッチメントを使ってウェアなどに装着することで、今までにないアングルからの撮影が可能となります。WSD-F10と同じくアウトドアをコンセプトにした製品ということもあり、両者の連携機能を開発しました。『EXILIM Controller』というアプリを使うことで、WSD-F10をFR100のリモコンとして使えるというのが最大の特長です。
技術的には、WSD-F10とFR100の通信にBluetooth®を使用しておりますが、表示や操作にタイムラグを感じさせないよう配慮しました。これには、FR100のカメラ部とコントローラー部の通信で培われた技術が活かされています。

QV事業部

是木 卓

——— WSD-F10とFR100を連携させることで、どのようなことができるのでしょうか。

 是木:たとえば、トレッキング。岩やハシゴを登りながら、その様子を写真に収めるのはなかなか難しいもの。危険な場合もあります。そんなとき、FR100をザックに装着しておけば、WSD-F10の画面で画角の確認やシャッター操作ができ、そのままの姿勢で写真が撮れます。いわゆる「ながら撮り」に近い感覚ですね。

家族と山登りをしたときに撮影。普段はなかなか撮影できないアングルで、子供の頑張りと成長を感じさせられる写真となりました。
自分の足場も悪い状態でしたが、WSD-F10と組合せれば、さらにいろいろな場面で簡単に撮影できる機会が増えそうです。

 是木:今まで、カメラやスマートフォンを取り出すのが面倒で、登山口や山頂での記念撮影しかしなかった人も、この機能を使えば、いつでも気軽に写真が撮れます。後で撮ろうではなく、今すぐに撮ることができるので、シャッターチャンスが大幅に広がるのです。もちろん、構えて撮るという一般的な撮影スタイルとは違い、撮れる写真の臨場感も明らかに違う。WSD-F10とFR100のどちらもウェアラブルで使えるからこそできる活用法だといえると思います。

——— アウトドアという共通コンセプトから生まれたWSD-F10とFR100。2つが連携することで、アウトドアがさらに楽しくなりそうです。

アウトドアレコーダーFR100とマルチアングルクリップ(別売品)を使用した装着イメージ

——— アウトドア用途に特化した機能とデザインを備え、スマートアウトドアウォッチという新たなジャンルを切り開いたWSD-F10。アウトドアを楽しむ人も、これからアウトドアを始めたいと思っている人も、ぜひWSD-F10を手にとって、新しいアウトドア体験の扉をたたいてみてはいかがでしょうか。また、アプリ開発、外装デザイン、UI設計の開発ストーリーもあわせて紹介。商品企画の想いが、どのように形になっていくのか、その過程にもご注目ください。


  • *●落下:MIL-STD-810G Method 516.7 Procedure Ⅳに準拠した試験を実施。●振動:MIL-STD-810G Method 514.7 ProcedureⅠに準拠した試験を実施。●湿度:MIL-STD-810G Method 507.6 ProcedureⅡに準拠した試験を実施。●太陽光照射:MIL-STD-810G Method 505.6 ProcedureⅡに準拠した試験を実施。●低圧保管:MIL-STD-810G Method 500.6 ProcedureⅠに準拠した試験を実施。●低圧動作:MIL-STD-810G Method 500.6 ProcedureⅡ に準拠した試験を実施。 ●高温保管:MIL-STD-810G Method 501.6 ProcedureⅠに準拠した試験を実施。●低温保管:MIL-STD-810G Method 502.6 ProcedureⅠに準拠した試験を実施。●温度衝撃:MIL-STD-810G Method 503.6 ProcedureⅠ-Cに準拠した試験を実施。●氷結:MIL-STD-810G Method 521.4 ProcedureⅠに準拠した試験を実施。 (本端末の有する性能は試験環境下での確認であり、実際の使用時すべての環境での動作を保証するものではありません。また、無破損、無故障を保証するものではありません。)